冬は長く、とても厳しい。

まるで太陽の存在を否定するかの様に、空は分厚い灰色の雲に覆われ、限られた昼の光では、全てのモノをぼやけた陰影で包むことしか出来ない。

そんな日々の中で、身を切る様な寒さを全身に感じながら、ロンドン一美しいと囁かれる墓所の在るナンヘッドを訪れた。

美しい彫刻の施された無機質で冷たい像と墓石、そこに違和感無く溶け込む生命。

地面に茂るよどんだ緑色、そこから突き昇る石と空とのくすんだ灰色。そんな霞んだ対色は、あたかも世の中が限られた色彩から構成されているかの様な錯覚を見せる。

ジョージ王の時代に彫り込まれた美しい装飾に呼応する様に、石と蔦とは複雑に絡み合い。

時間の流れがそんな両者を静かに調和して産まれた空間は、極めて神秘的な魅力を含んでいた。

鉄製のゲートをくぐると、天井のない教会へと続く道。
左右には巨大な墓石が立ち並び、まずはそんな美しい彫刻たちが目を引く。

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徐々に徐々に、植物が深く茂る。

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美しい装飾を施した石たちが、自然の中で静かに佇み。

傾くもの、倒れるもの
横たわるもの、隠されるもの。

そんな風化した石たちを、小さな植物が埋め尽くす。

• 折れた腕で天を仰ぐ像。
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• 浸食する植物。

分厚く垂れ込める雲たちがその流れを早め、光と体温を容赦なく奪い去る。
短い昼は流れ去り、長い夜がやってくる。