
ハンテリアン博物館

狂気と驚異のホルマリン標本コレクション
「実験医学の父」「近代外科学の開祖」と呼ばれ、兄と共に近代医学の発展に貢献したことで知られる英国の外科医 " ジョン・ハンター / John Hunter "
医学に置ける業績もさることながら、彼は生涯に渡って世界中から14,000点もの標本を製作・蒐集し続けたことでも知られていています。<・p>
ホルマリン漬けにされた動・植物、病気のサンプルとして集められた骨格など、それら異常な量の標本達の中には、非合法的に手段を問わず集めた物も少なからず存在し。
珍しい生物だけでなく、人間の奇形、病気を煩った生物、あるいは特徴的な人間を見つけては、葬儀業者に金をつかませて死体を手に入れるなど、医学の名の下、標本の美しさ、その蒐集に魅せられたであろう一人の人間の人生をこの場所は私たちに伝えてくれます。
今日はそんな彼のコレクションの内、約4,000点程の美しく奇妙な標本達に溢れる、イングランド王立外科医師会内部の " Hunterian Museum and Archives / ハンテリアン博物館 " を訪ねました。
4000点を超すホルマリン標本のコレクション
館内に足を踏み入れると、遠目からではそれらがなんであるのか分からない程の、異常な物量、それらが整然と並ぶ透明感のある空間が待ち受けています。
近づくとその一点一点が、ホルマリン漬けの標本である事が分かります。
人間、動物、昆虫、植物、臓器、四肢・・・。
全ての標本は、美しく統一されたガラス瓶の中で、几帳面なラベルとキャプションと共に展示され、奥まったスペースには、奇妙な人間達の絵画が並びます。
※ 当時の奇妙な病気を患った人々の絵画
※ ロンドン一の体重を持つ男と小人のような体をもつ男
一階の奥には、巨大なガラスケースに巨大な男性の骨格標本が納められています。
これは当時のロンドン一背の高かった男性の標本。そしてその横には背骨に病気を患った男性の骨格標本が。

そして、奇形の標本郡の中には、双子の頭骨が繋がった骨格標本、悲痛の表情を作られた病気の豚の標本、歪んだ骨格を持つ羊など、普段滅多に観る事の出来ない奇妙な標本の数々が所狭しと並んでいます。
医学への好奇心。
生物への好奇心。
形状への好奇心。
これらの標本の中に、彼は一体何を見いだしたのでしょう。
自然の作り上げた、美と醜悪。
この二つの言葉は、実はとても近しい所に存るのではないかと、この場所を訪れる度に奇妙な感覚に捕われます。