骨格標本の聖地
博物の国フランスの誇る自然史博物館。
その美しい庭園の一角にある " Galerie de Paleontologie et d'Anatomie comparee / 古生物学館 " には、膨大な動物の骨格標本やサンプル群が並ぶ、異常な空間が広がっています。
私たちヒト科を筆頭に、麒麟、牛、猿、鯨に至るまで、この世のありとあらゆる脊椎動物の骨格たちが並ぶ大陳列。
それは、数億年の動物の進化が積み上げた骨格の美しさと、フランスの天才博物学者 " ビュフォン " が築き上げたフランス博物史を今に伝え。
当時の姿で佇む建造物と、その重厚な窓たちが取り込む美しい光、厳格に納めるアンティークのキャビネットと、そこに収まる学者達の莫大な時間の詰まった標本の数々は、とても文字では綴る事の出来ない圧倒的なエネルギーを伴って僕の心を掴みます。
そして、そんな全てのモチーフが調和して出来上がったこの完璧な空間は、骨格標本収める空間としての一つの到達点で、そんなすばらしい空間に並べられたモノたちが教えてくれる知の体系を、博物館内部の圧倒的標本群の写真と共に紹介してみます。
脊椎動物の骨格と進化大陳列
1635年、フランス国王ルイ13世によって創設された巨大な館の中へと入るや否や、その圧倒的な物量に言葉を失います。
- ※ 先導する人体模型と、それに続く骨髄動物達
- ※ 木製のベースに固定された全身骨格標本群
先頭を行く人体模型が左腕を高々と掲げ。そこに追随する様にして陳列された、ありとあらゆる脊椎動物達の全身骨格標本群。
進化大陳列と題された本館のメイン展示品を見た後では、まるで「生」なんて進化に置ける一瞬の輝きでしかなかったのだと言わんばかりに、「死」は仰々しい行進を続けます。
- ※ 哺乳類に続く海洋生物群
- ※ 鯨の骨格標本
- ※ 美しく連なる尾骨の波
そして、そんな進化の行進を見守る群衆の様に。両脇に佇むいくつものキャビネットは膨大な数の骨格達を含んでいます。
- ※ 行進を眺めるように配されたサルの頭蓋骨群
- ※ 所狭しと並ぶ小動物の全身骨格
- ※ あらゆる動物の脳の模型を納めたキャビネット
- ※ 骨
- ※ 骨
右腕を木で接がれた鯨の美しさに心を奪われんがら、くたくたの足に鞭を打ち、二階へと続く重厚な当時の階段を登ります。
そこは過去に生きた生物の場所で、化石として残された彼らもまた、この場所にしっかりと息づいています。
吹き抜けの三階では、小さな貝類が納められたキャビネットが並び、壁面に掛かる当時の解説グラフィックの質の高さにまた呼吸を忘れます。
全てが完璧で。
時間は今日もしっかりと流れているのだと感じることのできる特別な場所。
館の外には美しい自然と庭園があり。それらもまた、ビュフォンが唱えた自然への価値観を体現するかの様に、植物達がその図版と共に生い茂っています。
そして、今日もそんな自然に囲まれて鎮座するビュフォンを眺め、この場所を後にしました。